チェスプロブレムは如何?(1)
- k-kosaka7
- 3月18日
- 読了時間: 3分
更新日:3月28日
昨今の藤井聡太名人の活躍の副産物として、詰将棋というものも世間において随分認知度が上がってきた感じがしますが、チェスにおける詰チェス、すなわちチェスプロブレムについてはどうでしょうか。恐らく殆どの方は、チェスプロブレムについて御存知ないのではないかと思います。せいぜい「チェスの方の詰将棋みたいなものでしょ」という認識でしょうか。それはある意味では正しく、ある意味では間違っています。どちらも盤と駒を用いたパズルですが、その発展の道筋は日本と西洋では大きく異なっており、そしてどちらも今なお進化を続けているのです。これから当ブログで、その一端を紹介できればと思っています。
まず、双方の相違点をいくつか挙げておきましょう。
(1)チェスプロブレムには、必ず白黒双方のKがある
詰将棋では攻方の玉がない方が一般的ですが、チェスプロブレムでは必ず双方のKが配置されています。これは「チェスプロブレムといえども、普通の対局で現れる可能性のある配置でなければならない」という考えがあるからだと思われます。
(2)白は必ずしも王手をかける必要がない
詰将棋では、攻方が相手玉に対して王手をかけ続ける必要がありますが、チェスプロブレムでは白(先手)は必ずしも王手(これをチェックといいます)をかける必要はありません(勿論、王手をかけても良いのですが)。
(3)全ての合駒が有効合とされる
詰将棋では、手数が2手伸びるだけで意味のない合駒は「無駄合」といわれ、手数にはカウントされません。それに対し、チェスプロブレムでは全ての合駒が(たとえ取られるだけの合駒であっても)有効合とされます。なお、将棋と違って持駒というものがないチェスでは、合駒はすべて移動合です。
(4)詰手数及び詰手順の表記の違い
チェスにおいては、白黒と1手ずつ指したとき、これを1.0手と表記します。白(黒)の1手だけなら0.5手という訳です。詰将棋における3手詰は、チェスプロブレムでは#2(mate in twoと読みます)と表記されます(これは、白の手のみをカウントしているものと思われます)
また、詰将棋には本手順(作意手順)というものが一つだけあり、解答者はそれを答えることになりますが、チェスプロブレムにおいてはそういうものがありません。詰将棋における本手順と変化手順を全て合わせたものを、チェスプロブレムでは本手順とみなすのです。
従って、解答を書く際にはそれら全てを書くことになります。
ざっと思いつくのは、これくらいでしょうか。では、実際にチェスプロブレムの作品を見ていくことにしましょう。
(1)William Meredith (Dubuque Chess Journal 1886)

#2 (8+5)
ちなみに、(8+5)というのは、盤面に白駒が8枚、黒駒が5枚あることを意味します。
2手詰ですから、初手に白が何か指し、次に黒が何をやってもその次の手で詰めることができれば成功です。それが可能な白の初手は何でしょうか? これは来週までの宿題としておきましょう。
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